NEWS | サイエンス
2020.04.08 11:55
マイクロチップや太陽電池のシリコンといった、現代生活を営むうえで使われる多くの材料のベースには、原子や分子が隊列を組む兵士のように規則正しく配列される「結晶化のプロセス」があるそうだ。こうした結晶は溶液よりも固体表面に形成されるのだが、このタイプの形成について知る方法は限られていたという。
そこで、マサチューセッツ工科大学とチャールズ・スターク・ドレイパー研究所の研究グループは、表面上での結晶の形成を再現する方法を発見、より大きなスケールでプロセスをより簡単に研究・分析できるようにした。
この方法では、実際の原子を使うのではなく、プロセスを簡単に観察・定量化できるように「Programmable Atom Equivalents」(PAE)と呼ばれるものを使用。原子が結晶格子へと配列されるための形状が重要だからだ。
研究グループは、金の球状ナノ粒子を用意し、まるで「クッシュボール」(Koosh balls)のように、粒子の表面に遺伝子操作した特殊な一本鎖DNAをコーティングした。この一本鎖DNAは、対となる鎖と結合して従来の二重らせんを形成する特性があるので、粒子を思いのままに配列させる確実な方法が得られるとしている。
つまり、粒子に非常に密度の高いブラシ状のDNAを与えてやると、できるだけ多く近くにあるものと結合していくのだそうだ。さらに、結晶が核となり表面から成長するように設計し、粒子どうしや粒子とDNAでコーティングされた表面のあいだの相互作用を調整することで、結晶のサイズや形状、方向、異方性の度合いを指定することも可能。
また、得られる結晶構造は実際の原子構造の約100倍の大きさで、形成プロセスも非常にゆっくりとしているので、プロセスを詳細に分析できると説明している。