NEWS | 建築
2020.04.07 16:57
中国・上海の徐匯区には建国西路と呼ばれる通りがある。全長2,498m・幅10mの大通りで、かつてはフランス租界があり、現在はアオギリの並木が生い茂る。この通り沿いにコーヒーショップ「%Arabica(アラビカ)」の新しい店舗がオープンした。
店舗設計を手がけたB.L.U.E.建築設計事務所は、都会のインターフェースを目指して、たんにコーヒーを提供するだけでなく、小さな公園のような公共スペースとしてコミュニケーションや社会的な交流を促す空間作りを行ったという。
具体的には東京・下北沢にあるショップをイメージ。ここでは、店先と街路のあいだにテーブルや椅子、ショーケースや棚などを設置している。
現代の都会における理想的な街並みは、人々が集まっているのを見たり、食べ物の匂いを嗅いだり、話を聞いたり、通りを歩いたりする体験を反映したもので、内と外、プライベートスペースとパブリックスペースの境界をぼかし、そこに生まれる「厚み」が鍵になるそうだ。
50平米の上海のショップでは、ファサードとインテリアをリノベーション。ガラスのファサードはU字型で、その前に小さな庭を配置。スペースはオープンなままとし、カーブしたガラスドアと外から続くフロア床により室内と屋外を最大限に融合させ、その境界をぼかした。
店内は狭いものの、庭を設けることで、店内の木と通り沿いの木が反応し合い、街路の自然の要素の延長にも見える。また、四季を通じて使えるように、エアコンは屋外ラウンジエリアに設置。エントランスのエアカーテンと組み合わせることで室内外の空気の出入りを制御し、冬でも夏でも快適さを確保している。