NEWS | アート
2020.03.26 14:46
東京・銀座にある資生堂の総合美容施設「SHISEIDO THE STORE」は、現代美術家とともに1階ウィンドウギャラリーの制作を行っている。
この春は、日本を代表する写真家・東松照明(1930–2012)による桜の写真を用いたインスタレーション「さくら 桜 サクラ」を展開する。
東松は、吉野の山肌に霞のごとく咲く山桜、会津高田町の圧倒的な迫力を持つソメイヨシノ、咲き誇る大木の桜の下に放置された車や冷蔵庫、花見の宴で赤ら顔となった背広の男性など、1980年代から1990年代にかけて日本全国の桜を撮影してきた。
10数年をかけて都市から山村に至るまで、100箇所以上に及ぶ桜を撮り続けたその旅は、日本が近代化の過程で失っていくものを背景に、無条件に咲き続ける桜と古来変わらない日本人の心の琴線に触れる旅でもあったという。
今回は、中央通りのウィンドウギャラリーに、新宿御苑の八重桜と青森・弘前城のお堀に散り重なる無数の花びらの2つのイメージが鏡のボックスの中で万華鏡のように展開するインスタレーションを展示。また、花椿通りのウィンドウには、東松が全国で撮影した桜の写真から約40 点を選んで上映する。
東松は、なぜ桜なのかという問いに「蘭や椿なら一輪でも鑑賞に耐える。が、桜の場合、そうはいかない。小さな花が寄り集まって咲き競う、そのたたずまいが美しいのである。私のいう桜の美とは、散りぎわのいさぎよさにあるのではなくて、花一輪では概して美しくない集合の美についてである」と答えているそうだ。
この展示は2020 年4月14 日(火)までの開催。東松によるSHISEIDO THE STORE のウィンドウギャラリーの桜は、街行く人々の心にさまざまな美しい情景を思い起こさせることだろう。
東松照明「さくら 桜 サクラ」
- 展示期間
- 2020年3月18日(水)~4月14 日(火)
- 場所
- SHISEIDO THE STORE 1階
- 詳細
- https://thestore.shiseido.co.jp/