NEWS | アート
2020.03.26 14:28
オランダ・アイントホーフェンで活動する台湾出身のデザイナー Pao Hui Kao(高寶惠)が「紙」を使ったさまざまなオブジェのコレクションを紹介している。
私たちの日常生活でもっともよく使う材料の1つである紙だが、水に濡れてしまうと、乾燥してももとのきれいな状態に戻らず、しわしわになってしまうのは誰もが知る通りだ。そして彼女によると、私たちが元通りに戻らないしわしわの紙を使わないのは、きれいな状態に慣れてしまい、他の状態もありうることを考えなくなったからだという。
彼女自身はむしろ、縮んでしまった紙がもたらす小さな動きに惹きつけられるという。水が紙に吸収されることで、内部の構造に力が加わるからだ。水に濡れることで、紙は商品として人工的に生産された形から逃れ、さらに乾燥したあとで脆さがなくなってより強い素材となり、その強さをキープしてくれるのである。
このしわしわの紙を筒状にし、積み重ねることで多孔的な作品を作り上げている。しわがあることで紙はその形成能力を発揮。日常の何気ないものを並外れた能力と独特の美しさをもった素材に変えているのだ。