NEWS | 建築
2020.03.25 15:31
建築家・青山周平と藤井洋子の二人が北京で立ち上げたB.L.U.E.建築設計事務所が、中国河北省承徳市の隆化県で設計を手がけた「Forest Valley Hot spring Center(森之谷温泉中心)」がオープンした。
この地は手つかずの原生林に囲まれた渓谷に位置しており、古代には巨大な活火山もあったことから、天然の豊富な温泉資源に恵まれている。
そこで、地元の人々に愛される谷の温泉を都会で暮らす慌ただしい人たちにも提供しようと、緑と温泉を組み合わせたユニークな施設を目指したという。周囲の自然を体験した後、その深い谷の真ん中にあるこのスパで、山々や水辺を眺めながらその静けさが楽しめるそうだ。
実際、谷の雰囲気は、日差しがあふれたり影になったりと刻々と変化し、気温も場所によって変わる。川のせせらぎや鳥のさえずりもある。こうした森のなかで、フリーでオープンな空間体験ができることがデザインのキーコンセプトとなっている。
そのデザインは、垂直に伸びる立体的なタワーと、そのあいだを水平に広がるガラス張りのボックスで構成され、外観は山々のつらなりをイメージしており、そのなかで温泉と植物がメインの空間として点在。起伏のある谷のように見る人の目を楽しませてくれる。
タワーは全部で8棟、それぞれ高さと角度が異なる形状。うち2棟が1階部分を温泉プールとし、ほかの棟ではさまざまなサービスを提供。2階部分は各棟にスパやプール、休憩エリアを設けた。タワーを出ればガラス張りの広々とした緑のエリアとなり、経路に沿って小規模なサービススペースも用意されている。
また、タワーの外壁材として火山岩を利用。山の植物が重なるイメージで火山岩を積み上げることで、自然のエネルギーを表現した。屋内には竹や木材、石材を使用。スパの厳かな雰囲気を演出している。