NEWS | アート
2020.03.25 15:44
台湾のアーティスト Cheng Tsung FENGが新作となるインスタレーション「Fish Trap House IV Houli」を公開している。台中の数百人の住人も参加して編み上げた、「筌」(うけ)と呼ばれる、失われつつある台湾伝統の魚を捕獲する漁具をテーマとした作品だ。
大型イベント「台湾ランタンフェスティバル」に招待された同氏は、ランタンを制作するために台中の農業組合を訪問。経験のない人にも筌の編み方を教え、その背後にある物語を共有しながら、200個以上も完成させた。
公共インスタレーションとして展示したのちは、ていねいに取り外して作り手のもとに返却。それぞれの筌には作り手の願いを込めた短冊がついており、彼らの生活のなかに漁具やその作り方がしみ込んで、新しいアイデアや可能性が生まれることになるのだ。
ランプシェードや鳥かご、あるいはクリスマスツリーの装飾に使いたいという人もいたようで、住民には新しいものを作るインスピレーションを与えることができたようだ。
貴重な手作り文化を残すには、文字にするのではなく、体に覚えさせるのが一番だとFENGは語る。集団のワークショップを通じて、台湾生まれの工芸品が彼らの記憶に刻み込まれ、祖先の宝が現代を生きる人々の身体に永遠に宿ることになるだろう。