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2020.03.13 18:43
京都大学の藤森真一郎 工学研究科准教授および広島大学の張潤森 助教らの研究グループは、将来の電気自動車の導入とそれによるCO2排出量削減の効果について、研究結果を発表した。
急速な普及を見せつつあるEV。これにより、将来的には自動車からのCO2排出量は大きく変わることが予想される。2015年のパリ協定では、地球の全球平均気温の上昇を2℃以下に抑え、温室効果ガスの排出を今世紀後半に実質ゼロまで下げることなどが、気候安定化目標として掲げられた。
しかし、それにEVがどのように貢献できるのかという問題は、これまで明らかになっていなかったそうだ。そこでこの研究では、EVの導入状況と交通部門以外の排出削減努力の進展度合いによって6通りのシナリオを設定し、コンピューターシミュレーションを実施。
その結果、EVの導入によりエネルギー消費量は減少するものの、発電システムが火力発電に依存する現状のままでは将来のCO2排出量はほとんど変わらず、全体としては正味で増加してしまうことがわかった。
さらに、仮に発電システムに再生可能エネルギーを大規模に導入したとしても、CO2削減は2割程度にとどまるという。
結局、気温上昇を2℃以下に抑えるというパリ協定の目標を達成するには、交通だけの取り組みだけでは難しく、家庭・産業・交通といったエネルギー需要全体、そして発電を含むエネルギー供給の脱化石燃料化といった社会全体での取り組みが必要ではないか、ということが明らかになったそうだ。