▲イヴォンヌ・ファレルとシェリー・マクナマラ(写真提供:Alice Clancy)
「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞は、アイルランド・ダブリンのGrafton Architectsを主宰するイヴォンヌ・ファレル(Yvonne Farrell)とシェリー・マクナマラ(Shelley McNamara)を2020年度の受賞者に選出した。
1970年代から建築家・教育者として活動、都市環境や建設技術に精通し、歴史を尊重しながらも新しい空間を生み出してきた両者。力強さと繊細さのバランスを取りつつ、サイトスペシフィックな文脈に敬意を払った研究・市民・文化施設や住宅を手がけ、そのモダンでインパクトのある作品は、誰もまねできない独自の建築的なヴォイスをもつという。
▲University Campus UTEC Lima(写真提供:Iwan Baan)
たとえば、ペルーの「University Campus UTEC Lima」(2015)は、片側が谷、もう片側が住宅地で高速道路わきの難しい場所にあるが、サイトと気候の両方に合わせた垂直に伸びる滝のような建築とした。
▲University Campus UTEC Lima(写真提供:Iwan Baan)
▲University Campus UTEC Lima(写真提供:Iwan Baan)
また、ダブリンの「Offices for the Department of Finance」(2009)では、壁面の厚いパネルに地元の石灰岩を採用して建物に力強さを与え、窓はくぼみにしたものとフラットなものを組み合わせることで、新鮮な空気を循環させている。
▲Offices for the Department of Finance(写真提供:Grafton Architects)
▲Offices for the Department of Finance(写真提供:Grafton Architects)
審査員は、「建築に対するアプローチの一貫性やその取り組み姿勢、コラボレーションの信頼関係、とくに2018年のヴェネチア・ビエンナーレなどで示された仲間に対する寛大さ、優れた建築に対するたえまない献身、環境への責任ある行動、作品を手がける場所がちがっていても変わらないコスモポリタンなあり方」などを評価。
▲Urban Institute of Ireland(写真提供:Ros Kavanagh)
「建築はこの世界でもっとも複雑で重要な文化活動のひとつです」とファレルは語る。「建築家になることは大変名誉なことであり、この賞を受賞することで、私たちの建築に対する信念をこの上なく認めていただきました。この名誉を光栄に思います」とのコメントを発表している。
▲Université Toulouse 1 Capitole, School of Economics(写真提供:Dennis Gilbert)
▲Université Toulouse 1 Capitole, School of Economics(写真提供:Dennis Gilbert)
▲Universita Luigi Bocconi(写真提供:Federico Brunetti)
▲Universita Luigi Bocconi(写真提供:Federico Brunetti)
▲Institut Mines Télécom(写真提供:Alexandre Soria)
▲Loreto Community School 写真提供:Ros Kavanagh
▲Town House Building, Kingston University(写真提供:Dennis Gilbert)
▲Parnell Square Cultural Quarter, City Library(レンダリング提供:Grafton Architects)
▲Medical School, University of Limerick(写真提供:Dennis Gilbert)