「工芸ハッカソン」から生まれた漆の魅力を再解釈した作品
「ReKOGEI」による「between #4 Black Aura」

▲展示_photo by Yuki Tsutsumi

2017年に開催された「国際北陸工芸サミット」では、富山県高岡市の伝統工芸の職人、先端テクノロジーのエンジニア、研究者、アーティストなどがチームを組んで、工芸の未来の多様な可能性を提案する「工芸ハッカソン」が行われた。

このイベントから生まれたチームのひとつ「ReKOGEI(りこうげい)」は、高岡市の伝統工芸技術を活用し、その伝統工芸の技術・歴史・美学をテクノロジーの視点から見つめ直すことを目的とし、漆の魅力を再解釈した作品「between #4 Black Aura」を発表している。

▲漆彫刻実写

同作品では、漆の質感をシミュレートしながら造形データを作成し、3Dシミュレーションの衝突実験によって、四角い布に造形物を突き刺さしたような、手わざで再現するのは困難な造形を作成。

このデータは3Dプリンターで出力され、漆職人の手によって何層にもおよぶ漆塗りと研磨を施し、漆彫刻に仕上げた。

▲上:漆彫刻実写、下:CG

▲上:漆彫刻実写、下:CG

さらに、漆彫刻を3DCGのレンダリング画像の構図やライティングと同条件で撮影。こうして写真とレンダリング画像の差異を撮影し、これまで言葉に置き換えられなかった漆の本来的な魅力を可視化したという。

また、同作品はこのほど、第23回文化庁メディア芸術祭 アート部門「優秀賞」を受賞。日本の伝統工芸と先端テクノロジーの協働が、新しい造形表現を生み出す可能性があることを示している。End