NEWS | サイエンス / ビジネス
2020.03.05 14:39
化学ベンチャー企業のフューチャーカラーマテリアルズは、食品・医薬・化粧品業界向けとなる温度検知ゲル「Thermo Tracker(サーモトラッカー)」を開発した。
これは、刺激強度により色を青色から赤色に、中間色である紫色を経由しながら綺麗なグラデーションとともに変化する有機色素を商品化したものである。
独自技術であるナノ分散テクノロジーによって、温度変化により不可逆的に色相を変える特殊な色素をナノサイズ(1μm以下)まで微細化し、おむつなどに使われる汎用品の高分子ゲルに分散させた商品で、大量生産が可能。1個当たりの価格は100円以下になる見通しだという。
食品や医薬品および一部化粧品は、適正温度から逸脱した温度の幅が大きく、その時間が長いほど劣化が進行する。サーモトラッカーも指定温度から逸脱した温度幅が大きいほど色変化が激しく、逸脱時間が長いほど全体に均一に色変化が起こる。このため、例えば商品を出荷する際、梱包材の中に一緒に入れることで、その後の温度履歴を色変化の度合いによって簡単に知ることができるのだ。
同社は、サーモトラッカーによる食品・医薬品の生産~消費まで一貫した個別商品管理システムを目指している。コールドチェーンにおける商品は、冷凍品(管理温度:≦-15℃)、冷蔵品(同:2~10℃)、常温品(同:10~20℃)、バイオ医薬品(同:2~8℃)など、商品ごとに定められた温度帯での管理が求められるが、冷凍品以外の冷蔵~常温帯での利用を見込んでいるそうだ。