NEWS | 建築
2020.02.14 16:01
リゾート地と知られるインドネシア・バリ島。さまざまな文化が絡み合っているのがその特徴だそうだが、現実には島のいたるところがリゾート化しており、宿泊客限定で楽しめるものが多く、地域住民の生活との結びつきは少ないようだ。
島の南端にあるビーチリゾート地、スミニャックに登場した新しいホテル「Potato Head Studios」は、もはや数少なくなった手つかずのビーチサイドにある。従来型なリゾート施設とはちがって、「宿泊客限定」というコンセプトはもたず、地元コミュニティの一部となるものだという。
ここは「Desa Potato Head」と呼ばれるリゾートエリアで、OMAが設計したPotato Head Studiosは一般にも開かれたホテル。プライベートな客室やさまざまな施設、公共スペースも有している。
ピロティ式にせりあがった建築で、客室のほか、展示スペースや大きなサンセットバーなども提供。ビーチへとつづくオープンスペースは中心となる場所で、お祭りやカルチャーイベント、日常のレジャー活動など、誰でもバリの文化が体験できるフレキシブルな舞台となる。
屋上は公共スペースと彫刻公園があり、施設内の歩道橋からアクセス可能。そこからレストランやプール、スパなどのアメニティスペースにも通じている。
Potato Head Studiosは、インドネシアの文脈を考えて設計。地上レベルのオープンスペースと2階のプライベートガーデンはそれぞれ、インドネシアの階上にある中庭とバリの地上にある伝統的な中庭を思わせる。
このホテルは、プライベートな楽しみよりもオープンな参加に向けたリゾート施設で、宿泊客と一般の人々を問わず、訪れた人が現代のバリの文化を体験したり作り上げたりできるコミュニティ向けの新しいスペースなのである。