NEWS | アート / ソーシャル
2020.02.07 12:20
独ベルリンをベースに活動するアーティスト Simon Weckertは、デジタル社会にフォーカスした作品を手がけている。彼の視点は、電子機器を使って、テクノロジーを使った実験から現在の社会を取り巻く問題まで、私たちの住む社会のさまざまな側面を考えることだという。
そんな彼が先ごろ発表したパフォーマンスが「Google Maps Hacks」だ。小さなカートに99台の中古スマホを載せて運ぶだけだが、これほど多くのスマホを一か所で使えば、Googleマップ上にありもしない交通渋滞が発生してしまうのだ。
その結果、車はまったく通っていないのに、近くでカーナビを使っている人たちは、きっとここは渋滞しているにちがいないとこの通りを避けようとする。
従来の地図とは異なるGoogleマップの特徴は、インタラクティブであること。カーシェアリングサービスやタクシーアプリ、自転車レンタルサービスなど、最新のサービスにはこうしたデジタルマップが欠かせない。しかし、この実験のように現実の都市に大きな影響を与えてしまう。Googleマップはすでにそれほど大きな存在になっている。
結局、そこで同氏が問いたいのは「権力」の問題だ。つまり、ユーザーの生活や企業の活動を左右する地図をGoogleが作成しているということだ。Googleマップを通じて、監視やコントロール、規制ができるかもしれないし、私たちの行動や意見、イメージを決定したり、情報をコントロールしたりするかもしれない。このパフォーマンスは、地図というものはそもそも情報や権力から生まれたものだということを伝えている。