トヨタが船舶向けに初の燃料電池システムを開発
世界一周の航海をサポート

トヨタ自動車およびToyota Motor Europe(TME)は、再生可能エネルギーで世界一周航海を目指す船舶「エナジー・オブザーバー号」向けの燃料電池(Fuel Cell、FC)システムを開発している。

トヨタでは、2015年に「トヨタ環境チャレンジ2050」を公表。「人とクルマと自然とが共生する社会」を目指しており、これが同船の目指すものと一致するとして、TMEは航海開始時からオフィシャル・パートナーとして支援してきた。

今回は、燃料電池自動車「MIRAI」の搭載部品を用いて、船舶用のコンパクトなFCシステムを開発。従来の同船と比べて、高出力、高効率、高信頼性を実現しているそうだ。

同社がFC技術を船舶向けに応用するのは初めてで、今回の航海での実証を通じて、化石燃料の再生可能エネルギーへの置き換えの可能性を検討し、将来の再生可能エネルギーを効率的かつ大規模に利用するソリューションを探求するとしている。

なお、「エナジー・オブザーバー号」は、フランスのヨットレーサーであるビクトリアン・エルサール氏(Victorien Erussard)と、探検家でドキュメンタリー作家のジェローム・ドラフォス氏(Jérôme Delafosse)が、レース用ボートをエネルギー自立型の船に改造したもの。

太陽光や風力の再生可能エネルギーや海水から生成した水素を用いた燃料電池を動力とする世界初の自立エネルギー型燃料電池船で、2017年6月にフランス北部のサン・マロ港を出発し、世界一周航海に挑戦中だ。2020年2月からは、現在行っている海上試験を完了したトヨタのFCシステムを搭載して、2020年ツアーへサン・マロ港から出港し、大西洋と太平洋を横断する予定だ。End