REPORT | 建築
2020.02.12 13:52
国土の約70%が森林である日本。そのうち約40%は人間の手によって育てられた人工林である。現在、この人工林が本格的な利用期を迎えているという。
環境問題に注目が集まるなか、二酸化炭素を吸収し、炭素を固定している木材を利用することは、地球温暖化の防止や持続可能な社会への貢献につながるのだ。
そこで、一般社団法人 全国木材組合連合会が普及を進める、JAS規格を受けた木材「JAS構造材」が近年、非住宅分野の建築物に使用されるケースが増えている。
実際、非住宅建築における木材の使用は、自然の温かみを感じさせ、環境問題にも有効だが、品質の基準や強度等の性能にばらつきがあり、そのため敬遠される傾向もあったそうだ。
一方、JAS構造材は、「日本農林規格等に関する法律」(JAS法)に基づき認証されたJAS工場で品質管理や格付のための検査・試験が行われたもの。JAS制度の基準をクリアしており、寸法や材質、強度性能等の品質、大きさや形状の規定が明確なのが特徴だ。木材の特性に「安心」や「信頼」が加わっており、住宅以外にもさまざまな場面での使用が進められている。
たとえば、JAS構造材は建築資材として、樹種・等級ごとにヤング係数を制定。正確な含水率コントロールを行い、寸法精度が明確、準耐火構造における燃え代設計への対応も可能で、入手場所を問わず同等の品質・規格を備えるなど、製品として高い信頼性を有している。
さらに、JAS構造材を利用したCLT工法により、従来の木造と比べて施工がシンプルで、プレファブ化によって建築期間を短縮するほか、木材特有の断熱性と壁式構造の特性を活かしつつ、木ならではの自然な風合いや肌触りをもち、優れた機能とデザイン性も実現。
また、木材であるJAS構造材の使用により、景観に配慮した魅力ある建築や環境に優しい建築が可能で、国も建築物の木造化・木質化を推進。海外でも日本の木造文化(軸組構法)への評価が高まっており、日本の木造の建築物に対して国内外を問わず大きな期待が寄せられている。こうした建築を実現する、確かな品質基準を持つJAS構造材の重要性は今後ますます高まるだろう。
JAS構造材利用拡大事業
https://www.jas-kouzouzai.jp