現代における「音」の影響を考える
Steve Parkerによる個展「Futurist Listening」

▲Ghost Box(2018)
Brass, wires, ink on paper, electronics, headphones, instrument case
96 x 144 x 12 inches

米ニューヨークのアートギャラリー CUE Art Foundationでは、ミュージシャンでアーティストのSteve Parkerによる個展「Futurist Listening」が2020年2月12日(水)まで開催されている。

同展で披露される作品は、ヘッドフォンであったり、金管楽器でできた彫刻であったり、グラフィカルな楽譜であったりと、いずれもユニークな形で表現されている。ただ、ジャミング信号や暗号メッセージ、警報サイレン、第二次世界大戦で考案された「音の戦術」も使われており、現代における抗議や欺瞞といったものを彫刻という形で再解釈しているそうだ。

▲Ghost Box(2018)
Brass, wires, ink on paper, electronics, headphones, instrument case
96 x 144 x 12 inches

たとえば、「Ghost Box」という作品では、壁に作られた金管の彫刻にタッチすることで、奴隷解放組織「地下鉄道」の暗号化した歌や、モールス信号、ソビエトや中国共産党のジャミング信号などが聴ける。

▲Ghost Scores(2018)
Paper, ink, map pins, wire
11 x 17 inches

Ghost Scores」は、第二次世界大戦中のアメリカ陸軍の特殊部隊で、欺瞞作戦を展開した「ゴースト・アーミー」がテーマ。戦術マップや記号、暗号文を断片化して、組み合わせている。

▲ASMR Étude(2018)
Brass, plastic, copper, speakers, electronics, and recorded voices
Dimensions variable

▲ASMR Étude(2018)
Brass, plastic, copper, speakers, electronics, and recorded voices
Dimensions variable

また、「ASMR Étude」という作品では、鑑賞者はヘッドフォンをつけて、多様な音を聴くことができる。ここでは、不安症やPTSD、不眠症を治療するために使われるASMR(自律感覚絶頂反応)が得られるという。

Parkerは、20世紀初頭の政治闘争や戦争で使われた聴覚ツールを使いながら、抵抗を促したり、コントロールシステムを混乱させたり、不安や病気を和らげたりするための音を鑑賞者に聴かせる。彼はポーリン・オリヴェロスやジョン・ケージの思想にもとづいて、音が聴取者の身体に影響を与える可能性について考えているのだ。End

▲Sirens(2018)
Brass, steel, conduit, plastic, recorded voices
84 x 36 x 36 inches

▲Noise Intoners(2019)
Brass, plumbing, plywood, recorded voices
Dimensions variable