NEWS | サイエンス
2020.01.23 17:36
未来の人類が月面で生活するようになれば、なにより大切になるのが呼吸をするための酸素の確保だ。
欧州宇宙機関(ESA)が発表した研究では、月にある砂から酸素が生成できるそうで、現在は月表面の「レゴリス」の模擬土壌を使い酸素の抽出実験が行われている。
月面から採取されたサンプルからは、レゴリスの重量のうち、40〜45%が酸素で構成されていることがすでに確認されている。しかし、この酸素は酸化物として鉱物やガラスなどのかたちで含まれており、すぐに使用することはできない。
実験では、溶融塩電解と呼ばれる抽出方法を使用。摂氏950℃に加熱して溶融した塩化カルシウムにレゴリスを入れ、電流を流すと、レゴリスから酸素が抽出されて陽極に集まるという。
これにくわえて、このプロセスからは利用可能な金属の合金も生まれる。もちろん金属の成分は、レゴリスを採取する場所によって大きく変わるようだが、ともあれ月面における資源の持続的な調達が可能になれば、近い将来の月面ミッションもよりスムーズに展開されるだろう。