抗力は物体を減速させる力ではない!?
鳥が抗力を使って飛び立つことをスタンフォード大学が発見

▲Image credit: Diana Chin

鳥が飛び立ったり舞い降りたりするとき、どんな「揚力」や「抗力」がかかっているのだろうか。従来の考え方では、抗力は物体を減速させる力であり、揚力は重力に逆らう力で鳥や飛行機を持ち上げて飛行させるものだと考えられてきた。

こうした常識にスタンフォード大学の研究チームが取り組んだ。実験では、鳥が飛び立つときには抗力を利用して最大で体重の半分を支え、降り立つときには揚力でブレーキをかけることがわかったという。

今回の実験では、オウムが生み出す微かな力を水平・垂直方向で瞬時に計測するために、鳥の飛行経路に合わせて床、天井、正面、背後、および飛び立つ木と止まる木に各3つずつ、合計18のセンサーを設置。さらに、1秒間に1,000フレームの撮影ができる高速カメラ5台で翼の動きを観察した。

そして、飛び立つときには翼を傾けることで、揚力を前方に向けて加速し、抗力を上方に発生させて体重を半分までを支えることを発見。また、着陸時には揚力の方向を変えることで、ブレーキをかける力を使わなくても減速し、衝突するような着陸を回避できる。

とはいえ、従来の航空機設計に大きな修正が必要かといえばそうではなく、研究チームは飛行ロボットの設計には有用だろうとしている。鳥と同じように浮上するために抗力を使うことはそれほど効率的ではないかもしれないが、ロボットから地上から飛び立つ際には役に立つ可能性があるそうだ。End