創建1800年、九州最北端に位置し関門海峡に向かって鎮座する福岡県北九州市の「和布刈神社（めかりじんじゃ）」は、奈良の老舗・中川政七商店のコンサルティングにより、2019年12月、コンセプトや神紋、授与所などを新装した。

全国に8万社以上ある日本の神社。時代の変化とともにその役割が弱まり、収益の確保が難しくなりつつあるという。

今回、中川政七商店によるコンサルティングのもと、「和布刈神社を在るべきすがたへ」をビジョンに、潮の満ち引きを司る「導き（＝道先を先導する）」の女神「瀬織津姫（せおりつひめ）」を祭る神社として、創建の由緒に基づきコンセプトを整理。建築設計はABOUTの佛願忠洋が、グラフィックデザインは岡本健デザイン事務所の岡本 健と山中 港が担当している。

古くから伝わる八重桜の神紋をリファインするとともに、御守やおみくじ・縁起物など、参拝する人の心を「導く」手助けをする授与品と、それらを渡す授与所の装いも一新。また、人生の最後の「導き」として、関門海峡での海洋散骨供養を「海葬」として改めた。

▲Photos: Takumi Ota

授与所のリニューアルでは、コンセプトを「影と光」。御祭神である瀬織津姫は、もともと天照大神の荒魂（神の荒々しい側面、陰の部分）であることから、授与所内も影と光の陰影を表現している。その美しい世界観には同神社のインスタグラムからも触れることができる。