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2019.12.16 15:57
300年前、ヨーロッパの啓蒙主義者たちはテクノロジーという神話を作り上げた。ヒューマニズムや植民地主義、人種差別が合わさり、土着の知恵や先住民の技術革新を無視し、原始的だと見なしてきた。そして今日、私たちはこの神話に囚われていることに気づきはじめた。
そこで、建築家 Julia Watsonは「Lo—TEK. Design by Radical Indigenism」をTASCHENから刊行した。先住民の文化に詳しい人類学者 ウェイド・デイヴィス(Wade Davis)が序文を寄せている。価格は50ドル(約5,400円)。
デザイナーたちはただちに環境への負荷を減らすべきだとわかっていても、天然資源に依存したテクノロジーの神話からまだ脱却できていない。ハードなインフラを作り、ハイテクで均質なデザインを目指すことで気候変動には対応できるだろうが、何千年もの知識が詰まった自然と共生するライフスタイルのことは考えていないのだ。
そこで、生物多様性をベースとするソフトなシステムを実装しなければ、デザインは持続可能にはなりえないというのが著者の主張。「Lo—TEK」は、昔からのエコロジカルな知恵から生まれた考えで、幾世代にもわたる知識、実践、信念の蓄積である。なおかつ洗練されていて、複雑なエコシステムでもサスティナブルに機能するしてくれるという。
同書は「山」「森」「砂漠」「湿地」の4章構成で、ペルー、フィリピン、タンザニア、ケニア、イラン、イラク、インド、インドネシアなど20か国の数千年にわたる人類の知恵と創意工夫を紹介している。