世界遺産の街が最先端の光のアートで灯される
リヨン・光の祭典2019がスタート

フランス、パリに次ぐ第2の都市リヨン。この地で2019年の今年で30回目の開催となる光の祭典(フェット・デ・リュミエール:Fête des Lumières)がスタートした。昨年、2018年の開催では180万人の観光客が訪れたという、リヨンでもっとも有名なイベントのひとつだ。

このイベントの起源は約150年前に遡る。1852年の12月8日、現在はリヨン歴史地区の一部として世界遺産に登録されているフルヴィエールの丘の上にある聖マリア小礼拝堂の屋根に金のマリア像が取り付けられた。この夜、リヨンの人々は、これを祝い、窓辺に小さなろうそくを灯して祝った。そこから、時を超え、形を変えはしたものの、12月8日という日が、リヨンにとって今でも特別な日として扱われているのだ。

今年は、合計35箇所の展示エリアに、プロジェクションマッピングはもちろん、インスタレーションやパフォーミングアートとも組み合わせられた計65のさまざまな光のアート作品がリヨンの街中で展開している。

A SHORT HISTORY OF LIGHT

▲作品名:UNE TOUTE PETITE HISTOIRE DE LUMIÈRE
SPECTACULAIRESによる作品。リヨン美術館と市役所の二つの建物に映像を投影。建物の二面をダイナミックに使い、巨大なイメージやアニメーションを映像マッピング技術で実現。

GENESIS

▲作品名:GENESIS
THÉORIZ Studioによる作品。1998年に世界遺産にも指定された、リヨン・サンジャン広場にあるサンジャン大教会をプロジェクションマッピングで、自然や環境保護をテーマにしたストーリーが展開される。

CODA

▲作品名:CODA
COLLECTIF SCALELucie Antunesによるコラボレーションでつくられたアート作品。複数台のロボットアームに付けられた蛍光灯が音楽とシンクロ。最初は不気味にも見えるその動きは、次第に光を生き物のようにも感じさせる。

LES CUEILLEURS DE NUAGES

▲作品名:LES CUEILLEURS DE NUAGES
フルヴィエールの丘を舞台にしたCozTenによるプロジェクションマッピング作品。ソーヌ川の対岸が観覧ポイント。”雲”をテーマに、人類にとっての水の重要性を説く。

PRAIRIE ÉPHÉMÈRE

▲作品名:PRAIRIE ÉPHÉMÈRE
フランスで三番目に大きい広場とされる、リヨンのベルクール広場で展開されているインスタレーション作品。TILTPORTÉ PAR LE VENTが手がけた。ルイ14世の像の周りを生き物のような光のバルーンが色を変え静かに漂う。

REGARDE

▲作品名:REGARDE
Christophe Berthonneau率いるGroupe Fによる、テットドール公園の池とその周辺を舞台にした壮大なインスタレーション作品。池に設置された光のトーテムポールに呼応。電飾を纏った人々が、木々の間や園内を森に暮らす生き物として周辺を動き回るパフォーマンスが同時に展開される。

今年は、計150人の若手クリエイターや美術学生も参加。リヨン市長のジェラール・コロン(Gérard Collomb)はこの点について、「以前このイベントで小さな作品を手がけたアーティストが、世界中で活動の幅を広げ、今回リヨンに戻ってきて展示をすることになった」と語り、彼らの作品披露の場であるとともに、見本市のような場としての機能を強化していく狙いも窺える。

冬のリヨンの街を灯す光のアート作品たち。19世紀を起源にする、光の祭典(フェット・デ・リュミエール)は、リヨン市民にとって、また、アーティストにとっても明るい未来を照らす存在になるべく、今尚進化を続けているのだ。End

リヨン 光の祭典 2019(Fête des Lumières)

会期
2019年12月5日(木)〜12月8日(日)までの4日間
・5日と8日は19時から23時まで
・6日と7日は20時から深夜
会場
リヨン市中心部を中心とした36箇所の展示エリア
詳細
https://www.fetedeslumieres.lyon.fr/en