NEWS | サイエンス
2019.12.12 14:39
火星では、しばしば砂嵐が吹き荒れることがあるそうだ。ただ、10年おきぐらいに予想外のことも発生するという。それは猛烈な砂嵐がしばらく続き、火星全体がもうもうとした砂ぼこりにつつまれるのだ。
そこでNASAは、火星探査車 オポチュニティが捉えたデータから、2018年に発生した大規模な砂嵐のメカニズムを分析した。その結果わかったのは、「ダストタワー」というものが発生すること。これは、日光で暖められて、大気中に舞い上がる砂ぼこりが集積した雲だそうだ。
このタワーは、火星の薄い大気中にある通常の砂ぼこりよりも密度が高く、はるか上空まで昇る数十km規模の巨大な渦巻き状の雲だ。
そして、このダストタワーは数週間も持続。タワーが他の物質を運ぶ「エレベーター」となり、大気中の砂ぼこりが熱せられて上昇気流ができたとき、ガスが運ばれ、そこに火星でたまに雲となって現れる少量の水蒸気が含まれているのではないか、と研究者は仮説を立てている。
さらに、この砂嵐によって火星にあった水分子が宇宙に放出され、何十億年もかけて湖や川がなくなり、砂漠のような現在の火星ができあがったのではないかと推測している。実はオポチュニティ自体もこの2018年の大砂嵐に巻き込まれてしまい、通信が途絶えた。ダストタワーの解明にはもう少し時間がかかりそうだ。