NEWS | 建築
2019.12.10 16:12
インターネットしか知らない世代の人には、図書室の本はたんなる装飾に過ぎないかもしれない。米カリフォルニア州ペブルビーチにある「Stevenson School」では、書架にある本は身を隠すための壁になっていたという。
Studio O+Aはそんな生徒たちのために、図書室に学習やリサーチのための配置をこしらえることにした。リデザインによって、最近のニーズを満たしながら若者がまた本を手に取るようにすることが目標だ。
現在では、ほとんどの学習やリサーチ、情報管理はオンラインで行われている。書籍が並んだ本棚はもはや図書室に不可欠のものではない。そこで同校では、使われない本は撤去して、学校生活の中心となる実践的なグループ学習を推進。クラスで必要なテキストが載っている大切な本は残し、空間をオープンにした。
さらに、この図書室でおしゃべりをする生徒のために、家具やフローリングのパターンを使って、集中して勉強するエリアと、グループで静かに話し合うエリアを区別。そして、プレゼンのために使ったり、グループ学習に取り組んだりと、家具も可動式にして空間に流動性を持たせている。
また、校舎は自然に囲まれているそうで、流木のようなグレーや砂のような淡い褐色、野生の花や実といった多彩な色など、自然の色づかいを活用。
こうした柔軟性も大切だが、若者の高い意欲が勝手気ままにならないようにするシステムも維持することを目指した。より大きな世界へと巣立つ前の最後の場所なので、彼らに用意されたものにそれとなく気づけるようにデザインしたそうだ。