先日、幕を閉じた第46回東京モーターショー。出展のメーカー/車輌数が減り、規模的には縮小傾向にありますが、大人だけでなく子どもにとっても魅力のある内容となり、約130万人が来場しました。「OPEN FUTURE」というテーマのとおり、今回のモーターショーからは、会場と車輌のコンセプトや体験型の訴求を通じ、もうすぐ新しいモビリティとの付き合い方が始まるのだという印象を受けました。
モーターショーでは多くのコンセプトカーが発表されます。コンセプトカーには未来に向けてのデザインや技術の方向性が表現されています。そして、カラーや素材には人々の気持ちや価値観が反映される傾向があると考え、我々はその動向を調査しています。日系自動車メーカーのコンセプトとして企画されたカラーの色相/トーンを日本流行色協会のカラーテーブルを基準にマッピングしました。
グリーンやブルーの寒色系と鮮やかすぎず彩度をおさえたトーンで多く展開されていることが今回の特徴です。環境や安全への意識が高まりはじめた時期にコンセプトカーとして発表されあ高機能なモビリティが実用車として活用されるようになってきました。最新技術を載せたモビリティは夢や理想の段階から、落ち着き・調和・安心感を表現した、日常に溶け込む存在として訴求されてきていると感じます。
また、コンセプトカーには量産では難易度の高い質感がデザインされる傾向があります。今回も眩しいほどのギラギラや、カラーセロハンのような深み色が見られる一方で、マットやソリッド調のものも多くありました。派手すぎずナチュラルで温かみのある素材感が、色相分布の傾向とリンクしており、カラーの印象には質感からの効果が大きいと改めて気づかされます。
特別な存在だったものが当たり前の存在になるにつれ、次の価値がどこに芽生えるのか、アンテナを広げて観察を続けていくことの重要性を改めて感じたモーターショーでした。