NEWS | サイエンス
2019.12.18 11:04
映画「2001年宇宙の旅」では、作品のなかの宇宙飛行士が広大な宇宙を旅するために「活動を停止する」状態、つまり冬眠に入る。これまで宇宙飛行士の冬眠は、サイエンスフィクションの世界の話だった。しかし現在、ESA(欧州宇宙機関)は、実際の宇宙飛行士が冬眠すると宇宙でのミッションにどんな影響があるのか調査しているのだ。
この調査では、「torpor」とよばれる冬眠状態に入るには薬を用い、実施前には動物のように脂肪を体内にため込む。柔らかなシェル状のポッドの中で、暗く温度をだいぶ下げた状態で、地球から火星到着までの180日間眠ることになるのではないか、という想定だ。
また、冬眠からは21日間の回復期の後に目覚めるが、動物の冬眠の研究結果から、人間も冬眠後に骨や筋肉の消耗はないのではないかとしている。
研究によると、冬眠を導入することで、宇宙船の船員の部屋は容積の3分の1を減らすことができ、消耗品もほぼ同様に減らすことができる。これにより数トンほど船体を縮小できるということがわかったそうだ。