NEWS | サイエンス
2019.11.27 15:22
ESA(欧州宇宙機関)は、土星のもっとも大きな衛星である「タイタン(Titan)」全体の初めての地図を公開した。モルワイデ図法で描かれた地図で、砂丘や湖、平野、クレーターなど、そのダイナミックな地形が明らかになった。
この地図は、2004年から2017年にかけて土星探査機 カッシーニがとらえたデータを駆使して作製。ミッションのあいだにタイタンに対して120回を超える接近を試みたそうだ。
タイタンの大きさは水星とほぼ同じで、地球以外では表面に安定した液体があることが知られている太陽系で唯一の惑星だ。ただし、ここではメタンとエタンの雨が降り、川や湖になっているとされる。
こうしたメタンやエタンの循環によって、タイタンに複雑な地形が生まれた。この地図では、広くペールグリーンで示されているのが比較的平坦な平野部で、ピンクで表示された箇所が迷路のように浸食されたような場所で、川も流れている。
また、ペールオレンジは小山のある高い地域、パープルは地表面に吹く風でできた直線的な砂丘、レッドはインパクトクレーター、ブルーは液体のメタンかエタンの湖である(であった)場所だという。
すぐにわかるように、さまざまな地形は緯度ごとに分布がわかれており、赤道付近には砂丘、中緯度には平野が広がり、極地に向かって迷路のような地形や湖が確認できる。別バージョンの地図では、カッシーニに搭載された惑星探査機 ホイヘンス・プローブがタイタンに着陸した地点も示されている。