NEWS | サイエンス
2019.10.30 14:35
CO2の問題はますます深刻化するなか、マサチューセッツ工科大学の研究チームは、空気からCO2を除去する新しい方法を開発したそうだ。このプロセスを使えば、発電所レベルから大気レベルまで、あらゆる濃度のCO2に対応できるという。
開発した装置は大型の特別なバッテリーで、稼働中は充電と放電を繰り返すだけ。充電中に薄いシート状の電極を通過する空気や気体の流れからCO2を吸着させ、放電されると気体が放出されるシステムである。
バッテリーが充電されると、たくさんある電極の表面で電気化学反応が発生。この電極は、カーボンナノチューブと合成したポリアントラキノンと呼ばれる化合物でコーティングすることで、CO2に対して自然な親和性をもち、非常に低濃度の気体にあるCO2とも容易に反応する。また、バッテリーが放電されると逆反応が生じて、純粋なCO2が気体として排出される仕組みだ。
飲料工場では化石燃料を燃やして炭酸となるCO2を作ったり、農家では天然ガスを燃焼させてCO2を作り、温室で作物を育てたりするところもあるそうだが、この新しいシステムを使えば化石燃料は必要なく、その過程で空気中から温室効果ガスを吸収することも可能だと研究チームは主張する。
今回の方法はエネルギーをそれほど消費せず、お金もかからないとしている。電極自体は一般的な化学的な処理で製造可能だそうで、今後は装置の大型化が期待される。