セメントの製造過程で発生するCO2を減らすには?
MIT研究者が排出物をなくして有益なものを得る方法を提案

▲Image:Felice Frankel

世界中で使われている建設資材のセメントは、その製造過程が温室効果ガスの主な排出源となっていて、排出量全体の実に約8%を占めるそうだ。もしすべてのセメントがひとつの国で製造されたとすれば、その国は世界第3位の排出国になるほどである。

一般的なポルトランドセメントは、石灰岩を砕き、石炭を燃やして得た熱で砂や粘土とともに高温で焼成している。このプロセスでは、石炭の燃焼および加熱中の石灰石からの放出という2つの過程で二酸化炭素が生じるのだ。

そこで、マサチューセッツ工科大学の研究チームは、こうした排出物を完全になくし、その過程でさらに有益なものを生み出せる、そんな新しい方法を考案したという。

ここでは化学の授業でおなじみの、2本の電極と水を使う電解槽を使用。酸素が発生する電極からは酸が、水素が発生する電極からは塩基が生成される。

そこに粉末状にした石灰岩を入れると、一方の電極で酸に溶解し、高純度の二酸化炭素が放出されるが、一般に消石灰として知られる水酸化カルシウムがもう一方の電極で固体として沈殿。そののち、水酸化カルシウムを別のプロセスで処理すれば、主にケイ酸カルシウムでできたセメントを製造できるとしている。

また、二酸化炭素は純粋で濃縮した流体として簡単に隔離でき、ガソリンに代わる液体燃料、原油採取で注入されるガス、炭酸飲料・ドライアイスなどの付加価値のある製品にすることができるそうだ。End