NEWS | 建築
2019.10.09 16:56
スイスの時計ブランド「SWATCH(スウォッチ)」は、同国の都市 ビール(Biel)に新しい本社ビルを完成させた。建築家 坂茂が設計を担当、約5年の歳月を要した世界最大級の木造建築である。
このビルには、スウォッチの新本社だけでなく、スウォッチ・グループ傘下の「オメガ」の製造工場、博物館「Planet Swatch」および「Omega Museum」が入居するイベント会場「Cité du Temps」も併設している。
湾曲したシルエットが特徴的な建築で、全長240m、幅35m、ファサードはもっとも高いところで27mに達する。オフィスビルの常識を打ち破るような斬新なものだが、街の環境に調和したデザインとなった。
大きなファサードには木造グリッドシェル構造を採用。エコロジカルで持続可能な木材を使うことで、柔軟な加工や正確なサイズでの切断が可能になった。設計では最新の3Dテクノロジーを活用して、約4,600本のビームの正確な形状と位置を決定したそうだ。
建物内は、Swatchの全部門が5フロアに入居。上の階に行くごとに面積は減少、ギャラリーからは下の階が見える。カフェテリアや小さな休憩所のほか、6人まで収容できる作業用のキャビン、さらにはどこにも通じていない「読書用階段」などの共有エリアも設置。
また、シェアサイクルや充電ステーション、インテリジェント機能をもつ窓ガラス、LED照明や高効率換気システムから太陽熱発電、ペーパーレスオフィスまで、最先端の技術やノウハウを駆使して、自然と調和した建築が実現した。