NEWS | 建築
2019.10.08 17:00
建築設計事務所 OMAによるドイツの老舗デパート「カーデーヴェー(KaDeWe)」のリニューアルプロジェクトは、ベルリン店に続き、ウィーン店でもスタートしている。
デパートの価値は、地元の文脈にどれだけ関与できるかにあるとするOMA。KaDeWeウィーンはたんなるアイコンではなく、むしろ「建築デバイス」として、ユニークな屋内構成によって新しい都市のつながりや公共スペースを生み出すことを目指している。
そこで、前方のショップエリアと後方のホテルエリアの2つのブロックに分け、そのあいだにある緑の通路は、公共の屋上庭園へと来場者をいざなう。庭園には木立やサンデッキなどを設け、あらゆる方角からウィーンの街を一望することができる。
ファサードは、ウィーン分離派の建築の柔らかく洗練された表現にインスパイアされたそうで、ホテルには凸型の出窓、デパートには凹型のパネルと、さまざまなサイズの円筒形のガラスモジュールを規則正しく並べた。建物全体に沿ってリズミカルに展開する、象徴的かつ繊細なファサードで、立体的な白いベールに包まれているようにも見える。
また、現代のフラヌール(遊歩者)には理想的な場所となる透過性と開放性を備えたこの建築は、公共スペースとプライベートなスペースをともに提供。都市と住民を浸透させながら、このエリアに都会のループを作り出すのだ。