山火事を長期間・効果的に予防するには?
スタンフォード大学が難燃性のゲル状液体を開発

▲Image credit: Eric Appel

ブラジル・アマゾンで発生した森林火災は記憶に新しいが、こうした山火事はひとたび発生すれば消火が追いつかず大規模になり、手が負えなくなってしまうのが一般的だ。

米カリフォルニア州では、この2年間に同州史上でもっとも深刻な山火事が複数発生しており、2018年の全米の消防費は過去最高の30億ドル(約3230億円)に達しているという。

では、どうすれば山火事を防ぐことができるのだろうか。もっともよく使われている市販の防火剤は、リン酸アンモニウムかそれと同系統の薬剤だが、これらは短期間しか効果がなく、予防的に散布することはできないそうだ。

そこで、スタンフォード大学の研究チームが開発したのは難燃性のゲル状液体。これを原野に撒くことで草木が燃えにくくなり、しかも環境に優しく、雨風にさらされても効果が落ちることはないので、火災が発生しやすい季節を通じて長持ちもするとしている。

その成分は、食品や医薬品、化粧品、農産物で広く使われている毒性のない出発物質だけ。ゲル状液体なので、一般的な農業用の噴霧装置や飛行機からも散布可能で、数か月間経てば分解される。

カリフォルニア州では森林保護防火局や交通局と協力して、この薬品の試験をすでに始めているという。山火事の原因は特定の場所で人為的に発生することも多いので、この薬品ならターゲットを絞ってしっかりと山火事予防を行っておくことができるだろう。End