平らな構造が温度差で人間の顔に変形!?
MIT研究チームが3Dプリントによるメッシュ構造を開発

▲Image: Lori K. Sanders

温度や環境の変化に応じて自動的に展開・膨張できる構造の開発を目指して、マサチューセッツ工科大学の研究チームが3Dプリントによるメッシュ構造を新たに開発した。

今回公開したのは、周囲の温度変化に反応して、平らな層から所定の形状に変形するメッシュ。これまで発表された可変形状の素材や構造よりも複雑なものにできるそうで、将来的には「自動展開テント」や「適応型ロボットフィン」などが実現できるのではないかと期待している。

▲研究チーム提供

実験では、特定の温度差になると人間の顔の形に変形する平らなメッシュを作製。このメッシュには導電性の液体金属が内蔵されており、ドーム型に湾曲することで、変形に応じて共振周波数を変化させるアンテナにもなる。

開発にあたって問題になったのは、同時に2つの垂直方向に曲がる二重曲率のある表面を実現すること。可変形状シートにこの二重曲率を加えるために、構造のベースを連続的なシート状のものから、格子状ないしメッシュ状のものに変更した。

▲研究チーム提供

また、材料には、温度が上昇すると自然に膨張する一般的なシリコンゴム「PDMS」を採用。溶液の1つにガラス繊維を注入して材料の温度応答性を調整することで、物質的に硬さがあり、温度変化に対する耐性のあるものができあがった。

今回の実験では、材料を格子状のパターンにプリントした後、250℃のオーブンで加熱。取り出して塩水の水槽につけて、室温まで冷却すると、人間の顔に変形したという。ちなみにこの顔は、「ガウス曲率」で知られる数学者 ガウスをモデルにしているそうだ。End