SPREADが手がける大型インスタレーションなど
「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2019」の見どころをPickUp

▲Photo: Ooki Jingu

「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトに、2007年から毎年開催している秋のデザインイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2019」が、2019年10月18日(金)から11月4日(月・振休)まで東京ミッドタウン各所で開催される。

国内外の第一線で活躍するデザイナーや注目のデザインが東京ミッドタウンに集結、デザインの魅力や可能性を誰もが身近に体感できるイベントだ。

今回のテーマは「FUSION/融合」。わたしたちはさまざまなものが飽和する時代に生きているが、一個人だけでは新たなものを生み出すことが難しい。だからこそ、異なるものとの融合が新しい発見や突破口になるだろう。Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2019は、デザインと景色、サイエンス、遊びなどが融合することで生まれる新しい価値を探る試みなのだ。

デザインの森

ミッドタウン・ガーデンに登場するメインイベント「デザインの森」では、五感を刺激する「見る」「考える」「遊ぶ」「創る」という4 つのコンテンツが登場。なんだか楽しそう! そんな衝動のままに心踊らせ、色彩あふれる散歩道を進んでみれば、さまざまな視点でデザインに触れられるだろう。

六本木カラー渓谷

まず、「見る」楽しさが体験できるのは「六本木カラー渓谷」だ。今春のミラノデザインウィークでも話題となった小林弘和と山田春奈によるクリエイティブ・ユニット SPREADが手がける、ダイナミックなインスタレーションである。

「色景に浸る」をコンセプトに、メッシュ生地を使った、見たことのない色鮮やかな世界を約80mにわたり展開。エネルギッシュな色彩の渓谷で、景色とデザインの融合が楽しめる。

▲全長約1km以上のカラフルなメッシュ素材のファブリックを使用した、80mにわたる色彩の渓谷がミッドタウン・ガーデンに現れる。
Photo: Ooki Jingu

「色は感覚です。色には自由さがあります。ただし、どこまでも自由ではなく、それぞれの人の記憶と結びついて呼び水のようになり、頭を開放してくれる。それが色です」と語るSPREAD。

「色」に魅せられるようになった始まりは、20代の頃に見た南アフリカのサファリの光景だそうだ。何千年前と変わらない色やその強烈なコントラストが、共通の記憶として二人の根底にずっと静かに流れていて、この数年でそのコントラストの鮮烈な印象が浮き上がってきていると感じているという。その光景がSPREADの「色」や「コントラスト」のルーツのひとつである。

作品をつくる際には、まず二人で現場に足を運ぶことにしている。ミッドタウン・ガーデンは普段から何度も行き来していた場所で、SPREADにとっていい意味で「通り道」であり、何かがある場所ではなく、気持ちよく通過する場だ。

アイデアが生まれるのは、シャワーを浴びているときやただぼんやりと歩いているときだそうで、この会場も何のストレスもなくただ歩ける場所。つまり、頭が開放される場所、感覚が「開かれる場所」なのだ。

▲夜はライトアップで表情が変化。
Photo: Ooki Jingu

「六本木カラー渓谷」は、当初のアイデアでは渓谷をそのまま持ってくるかのように、石や木をゴロゴロ置こうと考え、自然物をカラフルにして置くシュールさで表現しようとしていた。ただ、何かが引っかかっていた。

そんな中、今年4月、ロンドンに滞在した際、街の中心地で、サスティナブルでない社会へNO!を訴える大規模なデモに遭遇。「ものをつくっていく」自分たちは、この問題をスルーしてはいけないと感じたそうだ。

▲Photos: Ooki Jingu

そこで、ミッドタウン・ガーデンにある植物や景色を殺さず、石や木を持ち込むのではなく、より抽象的に表現したい、そこに元々あるものや記憶が透けて感じられるような表現をしたいと考え始めた。その結果、メッシュを使った渓谷というインスタレーションが生まれた。

この道にはたくさんの人が行き交い、多くの記憶が重なっている。その記憶を上塗りせず残しながら表現するために、透けて幾重にも重なるメッシュは最適だった。メッシュには色っぽさや豊かな表情があり、また遠くから見れば一枚の布だが、スケールを変えて近づくと、小さな四角が並ぶ一粒一粒の集まりになる。これが、SPREADが感じているコントラストの美しさをも表現してくれる。

選んだ色は、この地を通過した記憶の色たち。行き交う人の動脈と静脈、足元に小さく咲く花々、そこに集う小さな虫。それらの色を引き出し、透かし、重ねたのが「六本木カラー渓谷」だ。彼らの表現は日常と地続きで、いつもの道を歩きながら、大きな色に浸り、何かの記憶がくすぐられ、感覚が開かれる。そんな体験を楽しめるだろう。

六本木カラー渓谷

会期
2019年10月18日(金)~11月4日(月・振休) 入場無料
時間
11:00~21:00(荒天中止)
会場
ミッドタウン・ガーデン

Moment

「考える」ことが楽しめるのは、アーティスト 脇田玲が手がける「Moment(モーメント)」。時間をテーマにした彫刻が登場するこの作品では、「一瞬」という時間を表現するために、モチーフとして「風」を選んだ。

サイエンスの力で、人間の目では捉えることができない瞬間の風の形を可視化し、彫刻として表現。普段は目に見えない「一瞬」という時間の概念が、有形物として目の前に現れたとき、鑑賞者はその時間のもつ意味に改めて向き合うことになる。

また、ただ見るだけでなく、ミラー素材の作品に鑑賞者自身が映り込むことにより、人生という長くも短い時間の中で、その人が発見すべき日常に潜む美について考えるきっかけを提供してくれる。

本展に向けて脇田は、「情報や体験がリアルタイムかつインタラクティブに流布する現代において、流れゆく時間をどのように捉えるかは、人として豊かに生きるうえで重要な問いではないでしょうか。普段は見逃している『一瞬』に存在する無限の美に目を向けてみてください。そこにある美を感じられたら、いつも見ていた何気ない日常が、違った世界に見えてくるかもしれません」とメッセージを寄せている。

Moment

会期
2019年10月18日(金)~11月4日(月・振休) 入場無料
時間
11:00~21:00(荒天中止)
会場
ミッドタウン・ガーデン

デザインのひろば

そして、「遊ぶ」楽しみが味わえるのは、福井県の遊具メーカー「ジャクエツ」の協力のもと、プロダクトデザイナーの深澤直人やインテリアデザイナーの五十嵐久枝がデザインした、グッドデザイン賞受賞の遊具が並ぶ「デザインのひろば」。

より良い子どもの「あそびの環境」を考えるPLAY DESIGN LABによる5種類の遊具は、カラフルでシンプル、まるでオブジェのよう。普段の公園とはひと味違う遊具が「遊ぶ」という感覚を広げてくれる。

デザインのひろば

会期
2019年10月18日(金)~11月4日(月・振休) 入場無料
時間
11:00~17:00(雨天・荒天中止)
対象年齢
1~6歳
会場
ミッドタウン・ガーデン

時計以上の何か

毎年の見どころである企業出展も多数開催。芝生広場に登場する30×45mの巨大なパビリオンは、スイスの高級時計ブランド Audemars Piguet(オーデマ ピゲ)によるエキシビション会場。

時計の文字盤をイメージして設けられた12の部屋では、時計師たちによるムーブメントの装飾なども披露。歴史的価値のあるヴィンテージウォッチから現行モデルまで、150点におよぶモデル展示も圧巻だ。

また、巨大なスクリーンでは、オーデマ ピゲがサポートするアーティストの一人、池田亮司のデジタルアートを展開。「data-verse」と名付けられた3部作の第2作で、目に見えない素粒子の世界から宇宙、人間社会までを広大なデータで表現する。

時計以上の何か

会期
2019年10月19日(土)~11月4日(月・振休)
※入場無料・事前予約可
時間
11:00~19:30(最終受付は閉場の30分前まで)
※初日は15:00~20:00
会場
芝生広場

MAZDA DESIGN Exhibition

「クルマは単なる鉄の塊ではない。クルマに命を吹き込み、人とクルマをエモーショナルにつなぎたい」というマツダの魂動デザインの考え方を具現化したMAZDA CX-30。「光の移ろい」をテーマにしたクリエイティブな空間で、MAZDA CX-30がもたらす光のドラマを披露する。

MAZDA DESIGN Exhibition

会期
2019年10月18日(金)~10月27日(日) 入場無料
時間
11:00~21:00(荒天中止)
会場
キャノピー・スクエア

ドコモとデザイン

いままで一般公開したことのないスマートフォンなどの「プロトタイプ」や「スケッチ」を数十点展示。商品の「あるべきかたち」を追い求め、デザイン試作を繰り返し、新しい商品を生み出してきたドコモ。何を考え、どう取り組んでいるのか、実際に触れられるものを通じて「ドコモが考えるプロダクトデザイン」が体感できる。

ドコモとデザイン

会期
2019年10月18日(金)~10月27日(日) 入場無料
時間
11:00~21:00
会場
アトリウム
詳細
http://design.idc.nttdocomo.co.jp/

Salone in Roppongi vol.7 2019

イタリア・ミラノで毎年開催される世界最大のデザインイベント「ミラノ・サローネ」の賑わいを六本木に!が合言葉の「Salone in Roppongi」。7回目となる今回は、世界の目利きバイヤーが一目おいているセレクトショップ、オルランディで2012年から隔年出展しているRocca SPIELEのデザイナー 柿木原政広がサスティナブルをイメージしてつくったモビールを展示する。

Salone in Roppongi vol.7 2019

会期
2019年10月18日(金)~11月4日(月・振休) 入場無料
時間
11:00~21:00
会場
ガレリアB1 「DEAN & DELUCA」前

DESIGNART TOKYO 2019「intree table」

期間中に同時開催される「DESIGNART TOKYO 2019」の出展作としてteam barancoの「intree table」が登場。公共空間に小さなプライベートスペースをつくり出すためにデザインされた屋外用の家具作品だ。テーブルで体を支えながら着座すると座面は小枝のようにスイング。木々と一体になった不思議な感覚に包まれる。

DESIGNART TOKYO 2019 team baranco「intree table」

会期
2019年10月18日(金)~11月4日(月・振休) 入場無料
時間
11:00~19:00(雨天・荒天中止)
対象年齢
16歳以上
会場
プラザ1F「KONAMI本社」前
詳細
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designtouch/designart.html

TOKYO MIDTOWN AWARD 2019

▲展示の様子

「“JAPAN VALUE(新しい日本の価値・感性・才能)”を創造・結集し、世界に発信し続ける街」というコンセプトのもと、「デザイン」と「アート」の2部門で開催されるコンペティション。

応募総数1,278点の中から16点の受賞作品を決定。東京ミッドタウンのプラザB1オープンスペースにて受賞作品の展示も行われる。期間中、来場者の一般人気投票を実施し、「東京ミッドタウン・オーディエンス賞」を決定。結果は11月中にTOKYO MIDTOWN AWARD・公式サイトにて発表される。

TOKYO MIDTOWN AWARD 2019

受賞作品展示

日時
2019年10月18日(金)~11月10日(日)
会場
プラザB1
詳細
https://www.tokyo-midtown.com/jp/award/
*期間中、東京ミッドタウン・オーディエンス賞の投票を受付中

Hanzoo!

手袋を、親と子、子と子、家族のコミュニケーションツールとしてリデザイン。手を守る・温めるという機能的価値に、触れ合う楽しさという情緒的価値を融合したプロダクトだ。手袋をはめた指や手の自由な動きが生み出す可能性を、その手で感じることができる。

Hanzoo!

会期
2019年10月18日(金)~11月4日(月・振休) 入場無料
時間
11:00~21:00
会場
ガレリア1F 「Bonpoint」前

GOOD DESIGN EXHIBITION 2019

「これを見れば今年のデザインのトレンドがわかる」国内最大級のデザインイベント。今年のテーマは、「GOOD DESIGN MUSEUM」。メインエントランスで、60 年以上にわたるグッドデザイン賞の歴史に触れた後、2019年度の受賞作品約1,400件の展示へとつながり、東京ミッドタウンの各所を巡りながらGOOD DESIGNの世界を味わえる。

会期初日には、会場内ステージでグッドデザイン大賞の投票に参加するチャンスも。暮らしに身近なグッドデザインを、存分に楽しめる5日間だ。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2019

会期
2019年10月31日(木)~11月4日(月・振休) 入場無料
時間
11:00~20:00
※最終日は18:00まで ※入場は閉場30分前まで
会場
東京ミッドタウン館内各所(メインエントランスは東京ミッドタウン・ホール)
詳細
https://www.g-mark.org/gde/2019/

各種イベントの詳細は公式サイトイベントサイトでも確認できる。ぜひチェックしてみよう。End