NEWS | サイエンス
2019.09.30 16:53
マサチューセッツ工科大学の研究チームは、「Vantablack(ベンタブラック)」などのこれまでに公開されたものよりも10倍黒い物質を開発したと発表した。この材料は垂直配向カーボンナノチューブ(CNT)でできており、塩素でエッチング加工したアルミニウム箔の表面に形成させることに成功した。
アルミ箔は、少なくとも入射光を99.995%吸収しており、もっとも黒い材料となる数値を記録。
アーティスト Diemut Strebeとのコラボレーションにより、200万ドル(約2億1500万円)相当の16.78カラットの天然イエローダイヤモンドを、新たに開発したCNTでコーティングした作品として発表。このファセットカットされた立体的な宝石は、平板化して黒い穴が開いたように感じられるのだ。
もともとはウルトラブラックな物質を作ろうとしていたわけでなく、こうした手法でCNTを形成して、電気特性や熱特性を向上させる方法を実験していたそうだ。これにも成功したが、驚いたのはその色だった。黒かったものが一層黒くなったのだ。とはいえ、そのメカニズムはまだよくわからないという。
開発者は、アートへの応用はもちろんありうるが、実用的な活用法としては、不要なまぶしさを減らす光学的なブラインドにすることで、宇宙望遠鏡が軌道を回る太陽系外惑星を見つけるのに役立つのではないかとしている。