チェンマイにオープンした「Kaomai Estate 1955」
PAVA architectsが古いタバコ乾燥施設を博物館に再生

タイ・チェンマイにオープンした「Kaomai Estate 1955」は、かつて地元コミュニティの経済の中心であった、60年以上も前からあるタバコの乾燥施設の再利用プロジェクトによるもので、そのなかにはカオマイ博物館も含まれている。

博物館の設計を手がけたPAVA architectsは、貴重な歴史と自然の遺産がある「博物館としての場所」を構想。Kaomai Estate 1955は、「歴史と環境の博物館」がひとつの道筋となって物語る場所となった。

博物館となる納屋そのものがKaomai Estate 1955を紹介する役割を果たしており、歴史あるルートには、さまざまなタイプの乾燥施設、木陰のある大木、道路に沿って設置された解説などが時間の痕跡を見せてくれる。

また、博物館は、周囲に生える樹齢数十年の大きな木々と持続可能な共存を図りながら、乾燥施設の価値と由緒正しさをとどめるように丁寧に設計された。

博物館となった納屋の内部は、既存の鉄筋コンクリート構造を強化するために新しい鉄骨構造を追加し、カラーをダークグレーとすることで巧みに順応させた。また、吊り下げていた棒はすべて取り外し、広々とした壁に照明を当てることで、本物のレンガの表面と力強い空間を提示している。

打ち捨てられていた建築物だが、ささやかながら手を加えることで、新しいプログラムや建物と古いタバコ乾燥施設を融合、過去の遺産について来場者に考えさせ、教育することを目指している。End