土星の衛星 タイタンの湖はどのようにできた!?
カッシーニが得たデータからNASAが新研究を発表

▲Credit: NASA/JPL-Caltech

土星の衛星であるタイタンには、メタンで満たされた湖がいくつかあり、その周囲は土手のように数百フィートも高さまで盛り上がっているそうだ(100フィートは約30m)。こうした奇妙な地形はどのようにしてできあがったのだろうか。

1997年に打上げられ、2017年に運用を終えた土星探査機 カッシーニが得たデータから、NASAは新しい研究を発表した。これによると、この地形は温められた窒素が爆発してできたと考えられるという。

地球以外の太陽系の衛星では唯一、表面に安定した液体を持っていることが知られているが、地球のように雲から雨が降り、湖や海に水がたまるのではなく、タイタンでは雲はメタンとエタンでできていて、液体のメタンとエタンがたまるのだ。

そこでこれまでは、この湖は液体メタンが氷と固体の有機化合物でできた岩盤を溶かしたので形成されたとしてきた。今回の発表では、直径数十マイルの小さな湖では、地殻内にある液体窒素のポケットがあって、これが温められ、爆発性ガスに変化してクレーターを吹き飛ばし、やがて液体メタンで満たされたと解説。つまり、湖の周囲にある土手は、液体メタンによる浸食では説明できないことになる。

タイタンは太陽からの距離が遠いので、その表面温度はもちろん低温だ。ただ大気中のメタンが温室効果ガスとして作用して、比較的暖かくなる時期もあるそうだ。この土手は、寒い時期に雨として降った液体窒素がたまり、温められて蒸気となり、膨張したものが爆発したのだそうだ。End