NEWS | サイエンス
2019.09.02 17:08
脳内にできた血栓を取り除くには、血管内治療というものが行われるそうだ。これは、患者の大動脈に脚や鼠径部からカテーテルを挿入する「低侵襲手術」と呼ばれるもので、X線で血管を画面に映して、損傷した脳血管にワイヤーを手作業で通していくのだ。
しかしこの方法は、体に負担がかかるおそれがあり、X線透視法による放射線被曝に何度も耐えなければならず、なおかつ外科医の熟練した手腕が求められる。
そこで、マサチューセッツ工科大学の研究チームは、磁気で操作可能な糸状のロボットを開発した。迷路のような脳の血管構造などの狭く曲がりくねった経路でも、傷つけることなくうまく入り込んでいくそうだ。
この糸状ロボットやガイドワイヤーは、ハイドロゲルと3Dプリントした磁気で動く素材でコーティング。ロボットの芯になるのは、「ニチノール」とも呼ばれるニッケルチタン合金。曲げやすくて弾力性があり、形状記憶合金なので一度曲げても元の形状に戻ってくれるという。
実験では、糸を針の穴に通すように、大きな磁石を使ってロボットを操作。小さなリングを取り付けたコースを通すことに成功、その精度と運動性を実証したそうだ。