NEWS | アート
2019.08.07 14:15
現実にある滝をベースに、デジタル的にシミュレートした20種類の滝の動画をループさせるインスタレーション「Waterfalls(Tiered)」。アートユニット「Humans since 1982」による作品で、「モーション・コレクション」の1作だ。
モバイルに映し出された滝はいずれも、速度や大きさ、光の加減、影など、自然にある移ろいゆく滝に近い動きを作り出している。この視覚シミュレーションでは、滝はたえまなく流れるのではなくループさせることで、夢のような光景が現れる。
このコレクションでは、滝を滝のようにたくさん並べることで、ものごとの本質を把握しようとする心理的な試みなのだそうだ。そして、時代や場所を超越した、純粋な感覚としての動き(モーション)を抽出することで、滝はまるで手元に置いて大切にできるオブジェクトのように現れるのだという。
鑑定家のように細心の注意を払って展示したこのコレクション。そこには、作品をコントロールしたり秩序立てることから、感傷に浸りたい、自分のものにしたい、合理的に考えたいといった人間の欲望を探ろうという意図が込められている。
Humans since 1982は、移ろいやすいイメージを集めて組み合わせることで、人間が所有できないものを所有するというパラドックスについて考察している。