メゾン・エ・オブジェ・デイ・イン・トーキョー開催。
9月展のキーワードとは?

メゾン・エ・オブジェ・パリ2019年9月展(以下、MO19)に向けたプレイベント・MAISON&OBJET DAY IN TOKYO(メゾン・エ・オブジェ・デイ・イン・トーキョー)が、2019年6月末にNagatacho GRiD(永田町グリッド)で開催された。

今回の目玉である新設展示「WORK!」の紹介をはじめ、MO19を訪れるリテーラーやメディア、出展者に向けたケアとネットワーキングの場である本イベントには、主催社SAFIのCEOであるフィリップ・ブロカール氏と、ライフスタイル・インテリアデザイン業界のトレンドセッターを務めるエリザベス・ルリッシュ氏が登壇した。







インスピレーションの湧く場を目指して

「日本はメゾン・エ・オブジェにとって長い間ひじょうに大切な国なのです」。プレゼンテーションの冒頭でそう述べるのは、メゾン・エ・オブジェ・パリを主催するSAFIのCEOを務めるフィリップ・ブロカール氏。出展社数の国別ランキングではトップ10以内に、また来場者数の多さでも日本は高い位置にあるという。

ブロカール氏がMO19を通じて目指していること。その根幹は「出展者同士、また出展者と参加者との間に多くの出会いをつくること」「セミナーやカンファレンスを通じて参加者のインスピレーションを湧かすこと」「才能を見出すこと(Designer of the YearやRising Talent Awards)」であるそうだ。

▲フィリップ・ブロカール氏

前回(18年9月展)に引き続き会場構成は「MAISON」と「OBJET」のふたつに大別される。

製品カテゴリー別の7エリアから成る「OBJET」は、小売・流通関係者のために。装飾のスタイル別に分けられた4エリアから成る「MAISON」は、空間デザイナーやインテリアデザイナー、建築家のために構成されている。

また今年は会場内(ホール7)にピエール・エルメのカフェを設けるという。

▲MO19の会場構成図

新設展示「WORK!」に関連して、ブロカール氏は「働き方や働く場所が大きく変化している昨今において、これまで住宅のためだとされてきたデザインコンセプトがオフィスデザインに応用されている」と考察する。

「そこから浮かび上がるメゾン・エ・オブジェのミッションは、革新的でインスピレーションを与えるワークスペースの在り方を提案していくということ。そのために約2,200平米のスペースが『WORK!』にはあります。来年以降は『WORK!』だけで独立したスペースとして展示を広めていく予定です」。

▲コワーキング、サードプレイス、シェアオフィス、自宅でのテレワーク、ホテル内のワークスペース(プロワーキング)、レジマーシャル(レジデンシャルとコマーシャルを掛け合わせた造語)など、新しいワークスタイルの世界では、よりハイブリッドな場のデザインが求められている。




「What’s new」スペースの構成

2年前に設けられた「What’s new」は、新しいプロダクトをより魅力的に伝える演出に力を入れた展示スペースだ。「Living(リビング)」「Share(シェア)」「Work(ワーク)」それぞれをテーマにした展示があるのに加え、ライフスタイル・インテリアデザイン業界のトレンドセッターを務めるエリザベス・ルリッシュ氏が手がける展示は「Care(ケア)」がテーマだ。

▲エリザベス・ルリッシュ氏

ベッドルーム、バスルーム、スイートルームやカプセルルーム、プライベート感や団欒など、このスペースの指針となるのは「ウェル・ビーイング」であるという。居心地の良さを求める消費者の動向を踏まえてのことだ。具体的にはホテルという場(寝室やバスルーム)にこのウェル・ビーイングを落とし込むとどうなるか、そのような考えのもと展示づくりが進められた。

以下、「Care」を紐解く4つの演出を紹介する。

1. Simply Together(シンプリー・トゥギャザー)

「Co-working」「Co-living」の「Co」という言葉が示すように、「一緒に」「共有」といったコミュニティを意識する潮流を表したもの。カプセルホテルのデザインはこちらで紹介予定。テキスタイルにも注目。

2. Mediterranean Craft(メディテラネアン・クラフト)

地中海沿岸のライフスタイルを再解釈したボヘミアン的なエスニックスタイル。「過剰な消費活動」から離れた、ハンドメイドや職人性、地域性への寄り添いを意識。天然素材が持つ荒削りな一面をあえて残す趣向。

▲プレゼンテーションの模様

3. Deep Nature(ディープ・ネイチャー)

都会の喧騒から離れ、自然に浸る、自然との深い関係をもう一度結び直そうとする姿勢。ビーガン、家庭菜園といったライフスタイルもこれらのうちとして。

4. City Elegance(シティ・エレガンス)

装飾性の高い、ひとりひとりの好みに合わせ洗練された現代的スタイルを強調。パステルカラーを多く使用。カラフルでグラフィカル。

▲エリザベス・ルリッシュ氏

プレゼンテーション終了後には会場でネットワーキングパーティが催され、主催者や出展者、リテーラーやメディア関係者らがカジュアルな雰囲気なもとさまざまに交流をした。

先述の「MAISON」と「OBJET」のエリア・合計11のセクションのもと、MO19には例年にならい、ありとあらゆる出展ブースが立ち並ぶ。会期中、限られた時間のなかでより多くの出会いやコラボレーションのチャンスを得るべく、今回のようなプレイベントやガイドブック、ウェブやメールマガジンなどを、参加者には大いに活用してもらいたい。End

▲会場で配布された前回のトレンドブック。同時期に開催されるパリ・デザイン・ウィークと併せて、新たなデザイン/デザイナーとの出会いに期待したい。

メゾン・エ・オブジェ・パリ 2019年9月展

会期
2019年9月6日(金)〜10日(火)
会場
パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場
詳細
https://www.maison-objet.com/en/paris
問い合わせ
メゾン・エ・オブジェ日本総代理店/株式会社デアイ
Tel: 03-3409-9495
E-mail: mo-japon@deai-co.com