NEWS | 建築
2019.07.01 11:43
中国浙江省義烏市で建設予定の「Yiwu Grand Theater」の設計コンペでは建築設計事務所 MAD Architectsが勝利をおさめ、その設計案を公開した。新たな視点で住民をウォーターフロントに結びつける、都市のモニュメントとなる建築だ。
同市は世界的な商品卸売市場があることでも知られ、中国が進める経済圏構想「一帯一路」でも国内の重要な位置を占めている。2018年にはソフトパワーをいっそう高めるために、Yiwu Grand Theateの建設が決定したという。
同市を流れる東陽江の南岸が予定地で、大ホール(1600席)、中ホール(1200席)、国際会議場(2000人収容)からなる。遠くに見える山並みを背景にして、水辺を舞台にしたMADのデザインは、かつて品々を運んだ中国の帆船を彷彿とさせる。
ガラスの帆を重ね合わせた外観で、ガラスの透明度と明るさが薄くて絹のような布地の質感を表現しており、風に吹かれているようなダイナミックなリズムを作り出すそうだ。
劇場全体のエネルギー消費量を減らすために、パッシブソーラーデザインを採用。半透明のガラス製カーテンウォールは、遮光だけでなく、冬には太陽光による温室効果を上昇させ、夏には換気システムとして劇場内外の空気の循環を高めてくれる。
市内の公共スペースとして、あらゆる方向から簡単にアクセスが可能。南端の水辺には円形劇場と広い広場があり、テラスからは周辺の高台の景色が見渡せ、都会で自然に浸れる静かな瞑想の空間にもなっている。