NEWS | サイエンス
2019.06.26 14:17
日本各地では大雨が気になる季節になってきたが、北欧の国デンマークでも、大雨による洪水や浸水、インフラの破壊など、大きな問題が起こっているようだ。そこで、コペンハーゲン大学ニールス・ボーア研究所では、雷雨になる雲が自ら集まって大きな雨雲になるメカニズムのモデルを公開した。
太陽が海面を暖めると暖かく湿った空気が上昇し、幅は数kmだが高さ12kmにも及ぶ大きな円柱状の積乱雲を形成する。この雲が雨を降らすと、蒸発して雲の下の地域を冷やすだろう。その結果、雲を形成する空気の循環が止まって雲が消え、積乱雲はなくなるはずだ。
しかし、この雲の下に広がる濃密な空気は、周囲のそれほど濃密ではない空気と平衡を保とうとするという。つまり、冷たい空気はより密度が高くなるので、この雲から離れて広がろうとするのだ。そして、他の雲との衝突によって、「ガストフロント」と呼ばれる小さな前線が形成される。その結果、空気が上昇し、新しい雲ができてしまうのである。
統計力学からすれば対流していくような雲の自己集合は起こらないはずだが、この理論的な実験では発生しうるとしている。チームは「この種の自己組織化は非常に興味深いもので、生物学から磁気学までの幅広いシステムで生じる可能性があります」と語っている。
この研究では、雲がどのように相互作用するかをより深く理解することで、デンマークでの積乱雲や洪水の発生のメカニズム解明に役立てたいそうだ。