京都大学のシバニア・イーサン高等研究院物質–細胞統合システム拠点教授と伊藤真陽 同特定助教らの研究グループは、大きさ1mmという世界最小サイズの葛飾北斎「神奈川沖浪裏」を、インクを一切使わずにフルカラーで作製することに成功したと発表した。

プラスチックなどのポリマー（高分子）には、圧力がかかると「クレージング（亀裂）」と呼ばれる作用が起こり、そこから「フィブリル」という細い繊維が生じる。

この研究グループは、「OM（Organized Microfibrillation：組織化したミクロフィブリレーション）」と呼ばれるクレージングを調整して、フィブリルを組織的に形成させ、その形成したフィブリルで特定の色の光を反射する構造を開発。

そして、この層状にしたフィブリルを調整することによって、青から赤まですべての可視光を発色することに成功した。

OM技術では、さまざまなフレキシブルで透明な素材上に、画像解像度数14000dpiまでの大規模なカラー印刷をインクなしで行うことが可能。今後は、インクを使用しないカラー印刷技術の開発や、紙幣の偽造防止など、さまざまな技術への応用が期待されている。