NEWS | サイエンス
2019.06.10 13:23
私たちの身近にあり、日頃からその色合いや紅葉、風情を楽しんでいる植物だが、葉がどのような配置になっているのかは植物学において長年の謎だった。とくに独特の葉のパターンをもつものもあるそうで、東京大学大学院理学系研究科の杉山宗隆准教授らがその謎に挑んだ。
葉の配置を考えるには葉の角度が重要で、茎の根本から先の方に向かって新しい葉が現れるときに、一般的には対称的なパターンになる。たとえば、バジルやミントは90度、竹は180度ずつ葉の方向を変え、球サボテンの針や多肉植物のスパイラルアロエはフィボナッチらせんを描くのだ。
同氏らが研究した独特のパターンは、日本、中国、朝鮮半島原産の低木で生垣に使われる「コクサギ(Orixa japonica)」にちなんで「コクサギ型葉序(orixate)」と命名。実際、コクサギの葉は右、左、手前、奥という順に着いていく。角度でいえば、180度、90度、180度、270度、そして180度に戻り、また90度、180度、270度と繰り返すのだ。
これまで、フランスの物理学者 DouadyとCouderによるモデル「DC1」と「DC2」が葉の配列を考えるうえで有力だったが、このコクサギの葉の配列はこれらのモデルに当てはまらないという。そこで研究チームは、拡張モデル「EDC1」と「EDC2」を考案、従来のモデルより現実をよく反映していることが判明したそうだ。
自然界にはさまざまな幾何学的パターンがあるが、今回の研究成果は、こうした美しくも神秘的な自然のパターンを、生成の原理から理解することにつながるのではないかと期待されている。