NTTが座っていても歩いているような感覚を作り出す技術を開発
実際に歩くことなくVR空間の歩行表現が可能に

▲Photo by jose aljovin on Unsplash

NTTは、座ったままの状態であたかも歩いたような感覚を作り出す技術を開発したと発表した。また、この擬似的な歩行感によって、われわれの脳内表現である自己の身体を取り囲む「身体近傍空間」を前方に拡張することも明らかになったという。

VR体験のためのVRデバイスは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を通じた視覚への情報提示が中心だが、日常生活では身体から五感を通じて情報を得ており、複数の感覚への情報提示や、運動感覚の生起が質の高いリアリティを生み出すには不可欠だと考えられている。

ただ、利用者が実際に歩行することを前提とした場合、実空間は広さが限られているために、広大なVR空間を歩き回ることとのギャップが生じてしまうのだ。

この技術では、視覚や聴覚に加えて、触覚や身体感覚に刺激を与えることで、座っている体験者に擬似歩行感を生成。とくに足裏に振動刺激を与えて、実際に歩くことなく歩行したような感覚を生み出すことができる。

また、この歩行した感覚に応じて、自身の「身体近傍空間」が前方に広がっていくことで、前に歩いていく感覚がいっそう得られることになる。今後は4D映画館やVRアミューズメント施設などでのVR空間内の歩行体験を高めるための要素技術として、この技術の応用の検討を進めるそうだ。End