NEWS | サイエンス
2019.05.28 17:26
近年さかんに開発されている宇宙ロケットは、SpaceXのFalcon 9のように再利用ができるように設計されている。しかしそのためには、オリンピックの体操選手のように、ロケットがぴたっと着地を決めなければならないのだ。
この着地は、着陸パッドを使って衝撃をコントロールしなければならず、ロケットの脚部分には負荷がかかってしまう。それゆえ、この力を吸収して衝撃を和らげられる素材で脚部分を作ることが必要になる。
そこで、ワシントン大学の研究チームが着目したのは「折り紙」。折り目を入れたメタマテリアルの紙モデルを作成し、このユニットをいくつかつなげて、衝撃を吸収する力を発揮させるという。
研究チームは20個のユニットを蛇腹のようにつなげ、一端にはこの装置全体に力を及ぼす機械を接続。そしてユニットに力を加え、初めにユニットにかかった縮んでいく「圧縮波」と、そのあとに生じた押し戻す「膨張波」をカメラで撮影した。
その結果、一方の端にある機械から出た圧縮力は、構造を伝わるにつれて張力へと変化していった。そして、この蛇腹状の構造はもとの状態に戻り、圧縮力はユニット群の機械と反対側の端に達することはなく、そこには張力だけが生じていたのだ。
この発見は、宇宙ロケットだけではなく、人間と車の衝突時の衝撃を和らげる装置としても使えるのではないか、と研究チームは期待している。