NEWS | サイエンス
2019.05.27 16:16
ある金属や化合物などをきわめて低い温度へ冷却したときに、電気抵抗が急激にゼロになる現象である超伝導。この現象が現れるときの温度(超伝導転移温度)が室温程度の物質を発見することは、材料工学の大きな目標のひとつだそうだ。
シカゴ大学のアルゴンヌ国立研究所は先端技術を駆使して、摂氏約マイナス23度(華氏マイナス9度)で超伝導現象を起こした物質を研究しているという。今回の超伝導は非常に高圧の条件下で発生したが、室温で超伝導を生み出すことに大きな期待を抱かせる結果となった。
研究チームが開発したのは、「lanthanum superhydrides(超水素化ランタン)」という材料。唯一の難点は、この材料を150~170ギガパスカルという非常に高い圧力が必要だということ。これは海面での圧力の150万倍以上に相当するそうだ。こうした条件下でようやく、わずか数ミクロンの幅の小さな試料が高温度での超伝導を起こすことができた。
まだ実用化には程遠そうだが、さらなる記録の更新や今後の展開が楽しみな発見だ。