デザイナー 石河泰治朗による新素材プロジェクト「STB-01 / STB-02」。柔らかさと硬さを兼ね備えた素材の探求だ。

「STB」は、使い方によって形を変える材料組成を制作する試み。例えばこの素材を棚に使うと、置いた物の形や重さに応じて棚の形が変わる。リンゴを置けば丸く沈むだろうし、バナナであればいくぶん横長に深く沈むだろう。

こうした形の変化は、素材の脆さではなく、高価な物を手で受け止めて優しく抱擁するように、柔らかくてしっかりとした支えを感じさせる。あるいは、この素材の上に置いた物への親しみが重みとして感じられるのかもしれない。

▲Photo：Tomomi Takano

材料組成としてはむしろ単純なのだが、高度な製造技術を加えることで、新素材は形と機能をもつようになるのだ。パターンやカラー、デザイン後の最終用途に影響を及ぼす、無限の可能性を秘めているのである。