ドイツ・ミュンヘンのスタートアップ「Lilium」はこのほど、革新的なオンデマンド航空タクシーサービス用の新しい5人乗り航空タクシーのプロトタイプを発表した。この「Lilium Jet」は、完全電気式の航空機で、2019年5月初旬にドイツで初フライトに成功したという。

このプロトタイプは実物と同じ大きさと重量を備え、36個の完全電気式ジェットエンジンで飛行。これにより、垂直離着陸ができる一方、非常に効率的な水平飛行も可能だそうだ。

テール、ラダー、プロペラ、ギアボックスがないシンプルな設計、エンジン内の可動部がひとつしかないことで、同機の安全性と手頃な価格が実現。さらにはパノラマからガルウィングのドアにいたるまで、客室内での素晴らしい体験にもフォーカスしている。

最高速度は300 km/h、航続距離は300 kmで、競合他社のものよりもはるかに長い空の旅が楽しめる。これは、同機の固定翼に独自の設計を採用したからでもあるそうで、ドローンをベースとした航空機は、機体を空中で維持するときに大量のエネルギーを消費するが、Lilium Jetは固定翼によって発生する揚力を活用できる。

Liliumが計画するオンデマンド航空タクシーサービスは、乗客がLiliumアプリを使って最寄りの着陸パッドを見つけ、簡単に旅行ができるもの。都市部と地方を結ぶパッド網から希望の路線を選べば、タクシーと同じ料金で4倍の速さで移動が可能になるのだ。同社は2025年までに世界中のさまざまな都市でフル稼働させる見通しだ。