NEWS | アート / ソーシャル
2019.05.16 16:57
ホイットニー美術館の評議員会副委員長 Warren B. Kandersが経営している民間企業「Safariland」グループは、「殺傷能力の低い弾薬」とされる催涙弾の世界有数の製造業者だ。
この点に着目したのは、Forensic Architecture。ロンドン大学を拠点にする学際的な研究チームで、世界中の暴力行為や人権侵害について調査を行っている。
米軍の軍用品とは違って、民間の催涙弾の販売や輸出は公的記録には残らないそうで、催涙ガスの円筒弾の画像がネット上に表示されたときにしか、監視団体や市民はその販売の経緯について知ることができない。
そこで、Safariland社製の「Triple-Chaser」という催涙弾を使い、あまりお目にかかれないこの弾薬のデジタルモデルを構築して、数千もの現実にありそうな合成環境にこれをはめ込んで、催涙ガスの円筒弾が置かれているような状況を再現した。
こうして、ネット上で共有された何百万もの画像から、この「Triple-Chaser」を検知できるように、コンピュータビジョンによる分類を機械学習させるプロジェクトが生まれた。そしてこのフェイク画像を利用することで、私たちは本物の催涙弾を見つけ出すことができるようになるのだ。
このプロジェクトを撮影したムービーは、ホイットニー美術館が主催する「ホイットニー・ビエンナーレ2019」で公開されるそうだ。