NEWS | サイエンス
2019.05.15 14:38
私たちは月面について、とくに変化したりすることはないだろうと思いがちだ。しかし実際は、月面は内部が冷えるにつれて縮小しており、過去数億年間で約150フィート(50m)以上も縮んでいる。
ブドウが干しブドウになるように、月は縮むと「しわ」を形成するそうだ。とはいえ、月の表面の地層は脆いので、収縮するにつれて壊れ、地層の断面が下にある断面に対してずり上がる「衝上断層(thrust fault)」というものができあがるという。
こうした断層崖の規模は高さ数十m、幅数kmにおよび、1972年にアポロ17号の宇宙飛行士が「トーラス・リトロー(Taurus-Littrow)」と呼ばれる谷に着陸した際には、崖の上に登るのに月面ローバーをジグザグ走行させなければならないほどだった。
NASAの研究チームは、かつてのアポロ計画の時に月面に設置した4つの地震計のデータ分析。1969年から1977年までに発生した28回の浅い「ムーンクウェイク(moonquake)」のうち8回が、月面の画像から確認できる30km(18.6マイル)の断層のなかで生じていることがわかった。
さらに、この8回の地震のうち6回は、月が軌道上で地球からもっとも遠い地点にある「遠地点(apogee)」にあるときに起こったことも発見した。これは地球の重力によって二次的に発生する潮汐応力がピークに達し、断層に沿ってずり上がりが起こったのではないかと分析している。
月や火星での活動に向けた取り組みを活発化させているNASAにとって、人命にかかわる新たな問題となるかもしれない。