Google Creative Labがビル・T・ジョーンズとコラボ
世界的に有名な振付師はAIから何を学ぶのか?

2019年の初め、Google Creative Labは、世界的に有名なアメリカの振付師 ビル・T・ジョーンズ(Bill T. Jones)とコラボレーションを行うことを決めた。

2度のトニー賞受賞を誇るジョーンズとともに取り組んだのは、音声認識と「PoseNet」のクリエイティブな可能性を探ること。このPoseNetは、ブラウザ上で人間の姿勢をリアルタイムで把握できるGoogleの機械学習モデルだ。

アート、テクノロジー、アイデンティティ、そして身体が交わるこの共同作業について、ジョーンズは機械学習やAIに関心を抱いているという。AIが人間のリアルな感情をかきたてるのに活用できるのかどうかを身をもって知りたかったようだ。

かつては汗と身体のアートへテクノロジーを持ち込むことに否定的だった同氏だが、今回のコラボレーションでは、3Dモーションキャプチャを使ったプロジェクトに協力。Googleの作業チームは、50年後にジョーンズのパフォーマンスを再現可能なものにしようとしたが、彼はこうした再現よりも、パフォーマーをサポートするものとして活用したいと考えた。

ダンスは無限の空間としての空虚な部屋で行わるが、目の前にウェブカメラがあると、多くの制約を受けるという。そこからプロジェクトは、舞台ではなく”スクリーンのために何を生み出せるか”という新しい挑戦に変わったそうだ。

そして、彼自身はプロジェクトを通し「アーティストとしての出発点であるアヴァンギャルドから出てきなさい」と問われ続ける感覚を得たそうだ。また、何百万人もの人々が利用できる媒体と作業することについて、一種の責任感も感じたと語る。

さらに彼は、AIを使って意味あることを行う作業は、非常に奇妙なものになると予想していたが、とてもわくわくする体験だったとも語っている。End